紫外線の影響を最小限に抑える対策とは。

紫外線が皮膚に及ぼす影響

紫外線UV)は、ビタミンDの生成による骨の強化・骨粗鬆症の防止といったプラス面も(特に高齢者にとって)確かにありますが、外出の機会もふえる夏は、やはりそのマイナス面が気になりますね。


この紫外線、何も真夏や日差しの強い晴れた日だけに、警戒すべきものではありません。

曇りはもちろん雨の日も、晴天の日の3割程度の紫外線が出ています。紫外線は薄い雲ならその8割以上を通過しますし、上からだけでなく水面の反射や地面の照り返しによるものもあります。


紫外線が多くなるのは季節的には5~7月頃、時間帯では午前10時~午後2時頃ですが、目に入る紫外線が多くなるのは午前中の早い時間帯、そして午後から夕方にかけての時間帯となっています。加えて「大気中の汚れ」も、人が紫外線にさらされる量を増やします(紫外線の性質(気象庁))。



紫外線のマイナス面の影響として通常もっとも気になるのは、紫外線を浴びて発生するメラニン色素や活性酸素によって、顔や首すじのしみしわが増えることではないでしょうか。

そもそもメラニン色素は、肌が紫外線にさらされたときにつくられるもので、皮膚の色を濃くすること(日焼け)で、細胞の核となるDNAを保護するはたらきがあります。


ただしメラニン色素はその発生量が多くなると皮膚にそのまま沈着し、しみやしわの原因になります。一般に皮膚の老化の9割は加齢によるものではなく、紫外線によるとすら言われるほどです。


紫外線を浴びる量が多くなって、メラニン色素をつくっても細胞のDNAを守りきれなかった場合には、DNAに障害が起きてその修復が上手くいかず、異質な細胞となって増殖することがあります。これが以下に述べる、皮膚がんの兆候となるわけです。


しわには、「肌の表面の乾燥が原因となってできるもの」と、「紫外線を浴びることで肌の深い部分を構成するコラーゲンなどが壊れてできるもの」の、二種類あると言われています。


コラーゲンは加齢とともに減少していくため、歳をとってしわが増えることはやむを得ないことなのですが、紫外線を多く浴びるとあたった部分の肌の奥のコラーゲンが影響を受けるため、肌の弾力性を一層強く失ってしまうことになります。

たとえ高齢の方でも、日にさらされていない部分の肌つやが顔や首すじに比べ、比較的良いことからも、このことがわかりますね。


肌の表面の乾燥が原因の場合、パックなどで保湿をしっかり行うお手入れによってその進行をある程度は食い止められるのですが、肌の奥のコラーゲンが壊れたような場合は、表面に化粧水や乳液をぬっても届きません

したがってエステや美顔器などによる、しっかりしたケアが必要になってきます。


ちなみに食生活に眼を向けると、緑黄色野菜やビタミンCを豊富に含んだ果物を摂ることは、活性酸素やメラニン色素を抑制し、肌のしみやしわを抑える効果があるとされています。

具体的には、モロヘイヤ・ホウレンソウ・カボチャ・ニンジンなどの野菜、果物ではイチゴ・オレンジ・キウイ・パパイヤなどですね。


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紫外線の怖さ~眼と皮膚のダメージ



皮膚に対する影響の陰に隠れがちですが、眼に対する紫外線の悪影響も警戒すべきものがあります。

雪眼(ゆきめ)」と呼ばれる急性角膜炎や、「翼状片」と呼ばれる紫外線を慢性的に浴びることでの視力障害、さらに白内障の原因ともなります。


したがってそれほど日差しが強くなくとも、紫外線から目を守るため、街中に出かける時はサングラスをかけるようにしたいものです。横から入ってくる紫外線も防げるものがベターです。

普通のメガネやコンタクトレンズでも一定の紫外線カット効果がありますが、特にUVカットを特長としたコンタクトレンズなども販売されています。


紫外線を浴びる量と時間が多くなってしまうと、DNAが損傷して皮膚がんの発症・進行につながるのも、恐ろしいところです。



紫外線には皮膚の免疫力を弱める作用もあるので、がんに対するからだの抵抗力も落ちてくることになります。


太陽光の強いカリフォルニアやオーストラリアにおいては、皮膚がんを患う人の数が増え既に重大な社会問題となっていますし、日本では毎年およそ3,000人が、新たに皮膚がんを発病しているといわれます。


紫外線の影響の受けやすさは肌のタイプにもよりますが、日光にあたったときに肌が赤くなるというよりは黒ずんでしまう人は紫外線に対する感受性が強く、皮膚がんが発生しやすいタイプに分類されることに、注意が必要です。


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紫外線としみ・しわ~スキンケアと化粧品



紫外線からのダメージを防止する方法ですが、やはり基本の対策は外出時、日傘や長袖の着用等によって、できる限り日焼けを避けることです。

「日焼け」は本質的に、やけどと同じです。肌の表面が炎症を起こしているので、日に焼けたときまず一番良いのは、水や氷で十分に冷やすことです。

その後は刺激の少ないローションや化粧水を塗って、肌のほてりをとるようにします。

ちなみに日焼けの症状が重度の場合は、病院で副腎皮質ホルモンを塗るなどの治療が必要なケースもあります。


紫外線が強いと感じる時期は、スキンケア上も日焼け止め効果のある乳液やクリーム、ファンデーションをお探しになるはずですね。

ご存じの方も多いと思いますが、「紫外線対策」をうたった化粧品には、「紫外線を吸収する成分(SPF)」と「紫外線を散乱させる成分(PA)」が入っているものが普通です。


どちらも「表示数値が強いものほど効果が強い」わけですが、外出時の状況に応じて使い分けるのが良いでしょう。


ちょっと街中に買い物に出る程度の外出であれば、SPFは10~25、PAなら++程度のものを外出前に使うとよいでしょう。

水面や砂浜からの紫外線の反射量が特に多い海辺などに出かけるときは、SPFは30以上、PAは+++のものを選ぶようにします。


見落としがちな点は、これら化粧品の「使用期限」です。


一般的にスキンケア用品では半年~1年、メーク用品でもせいぜい2年程度が使用期限ですが、最近増えている「防腐剤・保存料無添加の化粧品」は劣化期限がぐっと短くなり、使用期限もせいぜい3か月程度です。

去年の使い残しのクリームなどは、ふたの部分などに雑菌が付いている可能性もありますし、何よりも品質的に劣化している可能性が高いので、もったいないとばかりに昨年のものを使ったりせず、ワンシーズンできっちり使い切るようにしましょう。





日焼け止め効果が高い化粧品を使用すると、一般に肌への負担は大きくなります


そもそも肌の表皮のメラニン色素や角層のアミノ酸に紫外線を防ぐはたらきがあるため、肌表面の潤いが失われぬよう、保湿クリームを先に塗って、その上から日焼け止め化粧品を使うのがよいでしょう。


なお乳液やファンデーションなど毎日使う化粧品でUV吸収剤使用のものは、肌荒れ・肌の乾燥の原因にもなるので、「UV吸収剤不使用(ノンケミカル)」がおすすめです。


日焼け止め対策として化粧品を使う場合、「効果の強いものを少ない回数で使うよりは、効果の弱いものをこまめに塗るほうが、一般に肌への負担が少なくなる」と言われます。

また製品容器に書いてある量よりも、少し多めに塗るくらいでちょうど良いでしょう。規定量の半分に減らして塗っただけで、その効果が3分の1ほどに落ちると言われるほどです。


紫外線は、直接見えない首まわりや半そでの腕の内側部分、耳たぶ・足の甲などにもしっかり到達しているので、これらの見落としがちな部分にも、できるだけムラなく均一に塗ることが大事です。

屋外に出ると汗で流れ落ちてしまうため、できれば数時間おきに重ね塗りをしたいところですが、時間がない場合はファンデーションやBBクリームを使って手早くカバーするだけでも、違ってきます。


ちなみに就寝前は、日焼け止め化粧品は洗顔料だけでは落とせないので、クレンジングをしっかり行った後に必ず乳液などでお肌を保護しましょう。


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しみ・しわ対策~UVカット製品のポイント

いわゆる「UVカット商品」の手袋や帽子などについては、これらUVカット製品の紫外線遮へい率は服飾メーカーによってもかなりのバラつきがあり、必ずしも信用できないのが実情です。

とは言っても、われわれ消費者がすぐに個々の製品表示の真偽を確かめることも難しいので、ここでは2つ覚えておきましょう。


まず、単に「UVカット」と表示されているものよりも、「具体的なUVカット率や、UPFの数値を表示している製品を選ぶ」ようにしましょう。


UPF」はUltraviolet Protection Factor〔紫外線保護指数〕のことで、オーストラリアとニュージーランドで定められた、紫外線カットの評価基準です。

このUPFの数値が15以上になると紫外線の防御効果があり、数値が高い方が良いとされます(50以上のUPF数値が、最も優秀です)。


二つめとして、「黒色の服はUVカット表示の有無にかかわらず、紫外線の遮へい率が全般に高い」ことをおぼえておきましょう。

暑い夏の季節などはどうしても、白系の衣服が涼しげな印象もあって好まれるものですが、紫外線の遮へいという点からは黒色や濃いめの色のファッションも着こなしとして、できる限り上手に取り入れたいものです。


なお夏の熱中症対策については、関連サイト「熱中症 症状・予防・応急処置のポイント 2分チェック」も併せてお読み下さい。




参考サイト

健康と医療 情報サイト



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